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遠山の金さんは庶民の味方?
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名奉行といえば、その人気を大岡越前と二分するのが遠山の金さん
こと、遠山左衛門尉景元。
青年期にグレて刺青を入れたことになっている。
そのため、庶民の暮らしにも通じた人情味あふれる名奉行になった
というが、ドラマのエピソードはそのほとんどがフィクション。
刺青も桜吹雪ではなく、腕に美女の顔が彫られていた程度。もちろん
お白州で見せたりはしなかった。
ではどうして遠山の金さんの物語が作られたのでしょう?
それは、天保の改革で贅沢が禁止され、芝居小屋も取り潰されそうに
なったのを、江戸の庶民には芝居は絶対に必要だと北町奉行の金さんが
がんばったからです。
芝居小屋の人たちが、がんばりに感激し、以後、芝居の世界では遠山
の金さんは芝居小屋を救ってくれた恩人として大事にされたというわけ
です。
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≪今回の「本当かよ?」度≫
★★★★☆(星4.0)
テレビ東京では中村梅之助の主演で「そば屋梅吉捕物帳」を製作していま
すね。これは町奉行の景元に代わり、背中に彫り物を入れた瓜二つのそば屋
が事件を探る、というもので奉行と金さんを分離してそれを一人二役で演じ
るというバリエーション物です。
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◆あとがき
遠山の金さんの基本的な構成
水戸黄門と同様、「気のいい町人」が最後に「実は権力者」の正体を明かし
て悪を征し、カタルシスを得る。
1.事件を「奉行の景元」が「遊び人の金さん」として内偵、悪人を一網打尽
にする。一網打尽にする直前に片肌脱いで、桜の彫り物を見せつける。
2.白州で被害者は悪行を訴えるが悪人は犯行を否認する。
被害者「遊び人の金さんが全て話を知っています。金さんを呼んでください」
悪人「そんな奴がいるわけがない。証拠がないのなら釈放してほしい」
悪人の仲間の幕府高官が陪席している場合、その高官が「遠山殿、これは全
く意味のない白洲ですぞ。」などととぼけた様に悪人の無罪を主張する。
(ここで他の悪人の取り巻きが「金さんを出せ!」「出してみろ!」と怒鳴る。
被害者が泣きそうになる。そして取り巻きの罵声が最高潮に達した時、奉行
が「やかましい! 悪党ども!!」と一喝する。)
3.奉行「(口調が一転して)そんなに会いたければ会わせてやろう。この桜吹
雪に見覚えがないとは言わせねえぞ」と片肌脱ぐとそこには金さんと同じ桜
の彫り物。幕府の高官が悪人の仲間の場合で、白洲に陪席している場合、そ
の高官が遠山に斬りかかろうとし、奉行に撥ね返される。
4.一同事態を把握して愕然となり、悪人は観念する。
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